大抵の木は面白い木目が出ているものを指すときに『いい杢が出ている』と言います。
その為、木目の出方によって、縮杢、玉杢、波杢、瘤杢等々、様々な呼び方があるわけです。
しかし黒柿の場合、墨を流したような模様をさして縞杢や孔雀杢とは言うものの『いい杢が出ている』とは言わず『いい模様が出ている』と言います。
これは、黒柿の墨模様が木目とは全く別の『模様』だからなのですが、最近挽いた黒柿のペン軸がその特徴をいい感じに出していたのでご紹介。
上の写真では、黒い縞模様が山なり(板目面or笹杢)になるようクリップの位置を合わせています。
一見するとこれが木目のように見えないこともありませんが、実は柾目面になります。
こちらは本当の板目面(笹杢)にクリップの位置を合わせたところ。
よーく見ると柿の木目が見えます。
現物を見ると一目瞭然なのですが、写真では分かりにくいのでざっくりと木目部分に線を入れるとこんな感じ↓
また、最初の一枚目の面をアップにすると、縞模様が木目によって切れているような感じになっているのが分かります。
ということで、黒柿の木目と縞模様が全く別物だということがよく分かったのではないでしょうか?
このペン軸の場合、たまたま墨模様と木目が90°ズレていて、木目も分かりやすかったので説明しやすかったわけですが、同じ材であっても場所によっては木目と同じように入る場合もありますし、あらぬ方向へ墨が流れていることもあります。
この自由奔放な墨模様が黒柿最大の特徴であり、木目とはまた違った個性的な模様が最大の魅力となっているわけです。
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