今回はスタビライズドウッドのカラーのお話。
木材に樹脂と一緒に染料を含浸させることで様々な色に着色できるのも大きな特徴のスタビライズドウッド。
いくつか染料の配合を実験した結果、トチやカエデで様々なカラーのペンが出来ました。
ベースの木はトチ縮杢・左からグリーン、ブルー、レッド、バイオレット、ブラックの5色
(バイオレットは写真での発色が上手くでませんでしたので、下のカエデを参考に)
どれも木とは思えない綺麗な発色となっており、材の奥まで含浸させているため杢がより強調され奥行きのある表情になっています。
また、光沢に関しては画像のクリップ先端をよく見ていただくとわかると思うのですが、玉が反射するくらい光沢があります。これは樹脂を含浸した分だけ密度が上がっているためです。
ちなみに、しっかりとスタビライズした材は元の材の重さに関係なく水に沈むようになり、ペンになるとスタンダードタイプで概ね39グラムでした。
楓4色(バイオレットはこちらの色味に近い)
本来はより色白な北米産のメープルを染める事が多いみたいですが、せっかく日本なので国産の板屋楓を染めました。
カエデは色味も硬さも安定しているので色見本としてちょうど良さそうです。
ただ、カエデとトチやその他の樹種では微妙に元の色が異なっているため、同じ配合の染料で染めても仕上がりの色味に違いが出ていました。
またブラックに関してはもうちょっと濃くしたいところ。
ちなみに染料の配合が少ないと…
左がトチの縮み杢・右はカーリーメイプル
初期段階の実験で染めたカーリーメイプルは染料が少なかったため黄緑になってしまいました。これはこれでありなんでしょうが、どうせならトチくらいしっかりと染めたかった。
また、カエデ系ですと面白かったのが、バーズアイメイプル↓
スタビライズド・バーズアイメイプル(メロンソーダ)
綺麗なグリーンの発色にバーズアイ(鳥眼杢)がソーダ水の気泡のように見えるため、メロンソーダと呼んでいます。
ちなみに、赤色や黄色と言った暖色系は着色しなくても結構樹種が存在しているのであまり作っていませんが、制作は可能です。
ということで、通常の木ではありえない発色にスタビライズドしたペンのご紹介でした。
なお、トチの杢に関しては各色で複数本作っていますが、それ以外はほぼ一品のみの状態で、個体差もありますので、当面の間店頭でのみの販売とさせていただきます。
追伸:写真を撮ってから気づいたんですが、通常の栃を並べるべきでしたね…
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