木のシャープペンシルの修理について

シャープペンシルの調子が悪いので修理して欲しいと言う問い合わせを時々頂くのですが、芯づまり等お客様のお手元で比較的改善が可能なものがあります。
また、芯づまり以外の不具合でも原因がわかるとその後の対処がスムーズになりますので、様々な対応方法、修理の依頼方法をまとめてご紹介いたします。

木のシャープペンシルの内部構造について

修理を行う前に、内部構造をご確認いただき下記記事をお読みください。

分解を行う場合は１・キャップとケシゴムを最初に取り外し残っているシャー芯をすべて取り出します。２・先金を取り外し内部部品を取り出します。3・先金と内部部品を取り外し内部部品先端を確認できる状態にします。

＊砕けた芯が飛び散る場合がありますので、ティッシュ等を敷いて行ってください。
＊キャップは外さなくても分解することができる場合もありますが、稀に前軸に引っかかって外れなくなる場合がありますので、最初に外してください。
＊前軸、後軸、クリップ、天冠は固定していますので、外さないでください。
＊内部部品先端部の分解はできません。
＊2009年頃まで販売していたシャープペンシルは構造が異なります。

目次

• • 芯づまり（ノックしても芯が出てこない、ノックができない等の場合）
  • 芯づまり以外で芯が出てこない場合
  • 内部部品先端が曲がっている
  • 芯が極端に飛び出る場合
  • 筆記時に芯が引っ込んでしまう
  • キャップが緩い
  • ケシゴムの不具合
  • 水没の場合
  • 木部の割れの場合
  • パーツの紛失、破損について
  • 旧型→新型への部品交換について
  • 保証について
  • 修理のご依頼方法と修理費用等

 

芯づまりの場合

内部部品先端に折れた芯が引っかかっている状態

芯づまりは主に、先金先端、内部部品先端、内部部品内部の三種類があります。
入っているシャー芯をすべて抜いてから、内部部品先端が見える状態まで分解し、まち針等でペン先、三割り部分、内部部品に引っかかったシャー芯やゴミを取り除き、ティッシュの上で軽く上下にトントンと動かしてください。
＊芯づまりは複数本詰まってしまっている場合もありますので、清掃後によく確認ください。

芯づまり以外で芯が出てこない場合

芯が詰まっていない場合でも、まずは芯づまりの場合と同じように、シャー芯をすべて抜いてから内部部品先端が見える状態まで分解し、まち針等でペン先、三割り部分、内部部品を清掃し、ゴミが落ちるようティッシュの上で軽く上下にトントンと動かしてください。

またご使用のシャー芯の個体差による場合もありますので、芯を交換してみてください。

下記の場合は修理の必要がありますのでご連絡ください。
落下等により先金先端に凹み傷がある場合。
非常に強くノックを押しキャップが変形してしまい、後軸に干渉してしまっている場合。

先端が凹んでしまった状態の例

ご購入後間もないペンで上記以外の原因でノックができない場合は初期不良の可能性がありますので、お早めにご連絡ください。
なお、先金破損に対し、部品のみの販売は行っておりません。
（先金が破損する衝撃により、内部部品にもダメージがある場合や、個体差による相性があるため。）

芯が極端に飛び出てしまう場合

先金と内部部品が内部でネジ止めされており、そのネジが緩んだ状態ですと芯が飛び出してしまう場合があります。
ネジの緩みがないかよくご確認ください。

芯が極端に飛び出てしまう場合

新型シャープペンシルの場合、先金と前軸の取付部分が緩んでいると、ノックした際に極端に芯が飛び出す症状が起こります。
緩んだままご使用いただくと、芯が折れやすく芯づまりに繋がりかねませんので、時々確認いただき、緩んでいる場合にはネジを締め直して下さい。

旧型シャープペンシルは先端の金具が二重になっており、先金と内部部品、先金と前軸の2つのネジがあります。、更にネジを緩めて外さないと内部部品にたどり着けません。

先端金具をばらした状態

この二重構造の内側のネジ（先金と内部部品）が緩んでいる状態でご使用いただくと、ノックした際に極端に芯が飛び出してしまったりする症状が起こります。
緩んだままご使用いただくと、芯が折れやすく芯づまりに繋がりかねませんので、時々確認いただき、緩んでいる場合にはネジを締め直して下さい。
＊この部分のネジが緩みやすくなっている場合は当店へお送りいただきましたら、固くなるように調整させていただきます。

＊シャー芯が残り3cm程度の時に稀に内部機構に引っかかり飛び出ることがあります。
構造上どうしても起こりうることですので、気になるようでしたら芯を交換してご使用ください。

内部部品先端の曲がっている

内部部品先端（樹脂部品をバネが覆っている部分）の前後で部品が曲がっていますが、こちらは仕様となり不具合ではありません。ペン本体に確実に取り付けることで、曲がりは解消される設計となっています。

筆記時に芯が引っ込んでしまう

シャープペンシルの芯の残りが短くなっている場合
芯の残りが15mmくらいになってきますと引っ込むようになりますので、古い芯を出し切って新しい芯をお使いくだい。

短くなった芯を新しい芯で押しながら使用
短くなった芯を新しい芯で押す形でご使用されますと、非常に折れやすく、故障の原因や芯詰まりの原因となりますので、先端が引っ込むようになりましたら古い芯を抜き取って新しい芯をご使用ください。
なお、シャープペンシルの芯は残りが15mmくらいになってくると引っ込むようになります。

概ね上の画像の長さで交換です

筆圧が強すぎる場合
当店のシャープペンシルは先端が収納されるダブルノック機構を採用しています。
そのため、構造上強く押さえるとペン先が引っ込んでしまうのですが、この現象を繰り返し行うと引っ込みやすくなってしまいます。

シャープ芯が細い場合
稀にシャープペンシルの芯の個体差により引っ込んでしまう場合があります。
その場合は、芯を新しいものと交換してください。
また、芯の出し入れによっても芯が擦れ細くなってしまい引っ込んでしまうようになる場合もあります。

購入時からの場合
ご購入後間もないペンで上記以外の原因で芯が引っ込んでしまう場合は初期不良の可能性がありますので、お早めにご連絡ください。

キャップが緩く外れやすい場合

ご使用によりキャップが緩みやすくなってしまうことがありますが、お手元で改善が可能です。

ペン先側のネジを外すことで内部部品を取り出していただき、下記画像の内部部品上部に2本の切り込みが入っている部分があります。

この切込み部分がキャップを抑えていますので、内側から千枚通し等で軽く押して広げることでキャップが抜けにくくなります。

ケシゴムの不具合

キャップ内部のケシゴムが中に入り込んでしまった場合は、部品を分解した状態でペン先側より細長い針金で押し出すことで取り出すことが出来ます。
ただ、ケシゴム自体が破損する場合がありますので、新しいケシゴム（ゼブラ　替消しゴム　E-1B-A）をご購入いただき取り付けてください。

なお、2019年5月より、ケシゴムを下記の通り変更しております。
『プラチナ万年筆　ケシゴム-100AA（4.6ミリ）』→『ゼブラ　替消しゴム　E-1B-A』

なお、一般的に販売されている『白い消しゴム』は正式には『字消し』と呼ばれている本来の消しゴムとは全く別物だそうで、現在一般的に消しゴムと呼ばれている殆どの字消しはプラスチック製となっており、ゴムを使用している本来の消しゴムは、消しゴム付き鉛筆やシャープペンシルに使われているものなのだそうです。

水没の場合

水没はその程度によりますが、可能な限り早めに部品を分解し、内部の水気をティッシュやハンカチで拭き取ってから、すべての部品を2〜3日ほど風通しの良い日陰で乾燥させてください。
＊ドライヤーや日向での乾燥は割れの原因になりますので絶対に行わないで下さい。

乾燥後は木部にオイルワックスを刷り込んで頂き、部品を組み付けてご使用下さい。

なお、水没しますと木部が水分を吸ってしまい表面の毛羽立ち、割れ、杢によっては凹凸してしまう場合があります。
毛羽立ちはご使用により改善する場合がありますが、割れは補修が必要になります。
凸凹は修理にて再研磨が必要になり、程度によっては改善が難しい場合もあります。

木部の割れの場合

直射日光の当たる場所やエアコン、暖房器具の近くにあるデスク、車の車内等、過乾燥状態になりやすい環境に保管されると、木部に割れ（ヒビ）が発生してしまう場合があります。

割れてしまっても、内部の金属パイプと接着されており、剥がれてくることはなくご使用には問題ありませんが、当店にお送りいただくことで割れ部分の補修対応が可能です。

割れの補修は基本的に同種の木の粉末と接着剤によるパテで埋めて行いますが、割れが小さい場合パテが入らず補修ができない場合があります。
また、梅雨時期や夏等季節の変化により割れが動く可能性がありますので、割れを確認後、半年程度様子を見てから補修依頼をお願いいたします。

修理依頼方法や料金は本記事下部に記載しておりますが、木部の割れを修理する場合、いったんすべての部品を取り外す必要があり、取り外しの際に金具が破損し部品の交換も必要になる場合がります。

＊保証期間内であっても、木の特性による割れが発生する場合があり、有償修理となります。

割れを補修した黒柿のペン（スタンダードタイプのボールペンです）

パーツの紛失、破損について

ノックキャップ、先金等のパーツを紛失や破損された場合は、修理として対応となります。
下記記載の修理の依頼方法をご確認下さい。
＊部品単品での販売は行っておりません。

旧型→新型への部品交換について

旧型シャープペンシルから新型シャープペンシルへの組み換えについては、下記ページをご確認ください。

【旧型→新型】木のペンの部品組換について

保証について

当店のペンは『取扱説明書兼保証書』を同梱しております。
ご購入後1ヶ月以内で、正常な使用状況において故障が発生した場合、無償修理となる場合がありますので、まずは保証書記載の購入店へご連絡下さい。（送料別途）

なお、ご購入店の印欄及び日付の記入のない場合有効となりませんので、必ず記入の有無をご確認下さい。もし記入のない場合は直ちにお買上げの販売店にお申し出下さい。
保証書は再発行いたしませんので、紛失しないよう大切に保管してください。

注意事項
保証期間外の修理の際も保証書が必要となります。保証書は紛失しないよう大切に保管してください。
保証書記入欄の記入漏れ、欠損は対応不可となります。
初期不良および修理依頼は、必ず購入店にご連絡の上、対応をお願いいたします。
保証期間内であっても、木の特性による割れが発生する場合があり、有償修理となります。
事前連絡なく商品のみお送りいただいた場合、対応できない場合がありますのでご注意下さい。

修理のご依頼方法と修理費用等

お手元での動作改善が難しい場合や、部品交換が必要な場合、まずは保証書記載の購入店へ不具合の内容をお問い合わせ下さい。

弊社本店及び野原工芸オンラインストアにて購入の場合は、お問合せフォームまたはお電話にて、下記内容をご連絡下さい。

購入頂いた方の氏名、保証書記載の樹種、ペンの仕様、購入日

保証書がない場合：
当社オンラインストアや本店店頭の場合は、注文番号や購入時期、ご購入頂いた方のお名前等をお知らせいただくことで確認出来る場合があります。

不具合の症状等。
＊こちらの記事を確認後のご連絡の場合、確認済みのむねご連絡いただけますとスムーズです。

＞＞お問い合わせフォームへ

修理費用

修理基本費用：1100円

部品交換：2750円以内

割れ等の特殊補修：1100円〜3300円程度

＊購入店からの修理の場合、取次手数料等がありますので、上記料金とは異なる場合があります。
＊木部の不具合の場合、状態を確認してから料金のご連絡となります。
＊研磨は表面をごく僅かに磨く程度で凹み傷はほとんど取れません。
＊お客様のお手元で削ってしまった場合研磨自体が行えない場合があります。
＊補修時に木部に傷や割れが新たに見つかったり、発生することがあります。
＊取り外した部品は破損の可能性もあるため当店にて責任を持って処分いたします。

送料と発送方法について

お客様から当店にお送りする際の費用はご負担ください。
発送方法に指定はありませんが、日本郵便レターパック、ヤマト運輸・宅急便コンパクトが多いです。
また、ペン自体の破損をさけるため、必ず緩衝材やペンの元箱に入れて発送してください。

当店からお客様への返送費用：
お振込みの場合は返送料サービスとなります。

修理費用は当店に修理品をお送りいただき、状態を確認後に改めてご連絡となります。

＊保証書を必ず同梱してください。
＊お支払いは原則先払いで、郵便振込または銀行振込となります。
＊当店からの返送方法は日本郵便のレターパックプラスになります。
＊修理費用をご連絡後、一週間以上お振込またはご連絡がない場合は代金引換での返送となり、送料550円＋代金引換手数料330円を別途頂戴いたします。

返送時期

修理内容によりますが、修理費用をご連絡後1週間以内に返送対応いたします。

ボールペンへの部品換装について

当店の木のシャープペンシルは長年ご愛用いただいた木軸部分のみ残し、金具を組み替えることで木のボールペン・スリムタイプへの換装が可能です。
組み換えも通常修理と同様の扱いとなりますので、まずは購入店へご連絡ください。

修理対応不可製品

・2009年以前の旧型
現行品と部品形状が異なっており部品交換対応出来ません。

・転売品
保証期間内であっても転売品の修理対応はお断りいたします。
修理にお送りいただいたものが転売品と確認された場合、そのまま着払いにて返送となります。